用語辞典
湯灌(ゆかん)
湯灌は、ご遺体を沐浴させ、お身体や髪を綺麗に拭いて清め、死化粧をほどこす、髭をそる、死装束に着替えさせるなどの身支度を整える儀式のことで、納棺前に行います。現在は、湯灌の代わりに故人様のお身体をアルコールで清める「清拭(せいしき)」を行うことが増えています。
ご遺体の洗浄・清拭は、一般的に納棺作業を専門とする湯灌師(ゆかんし)が行いますが、地域によっては遺族や親族が一緒になって行う事もあります。
現世でまとった悩みや苦しみなど、汚れや煩悩をすべて洗い流して体を洗い清め、来世への旅の準備を整えます。赤ちゃんが生まれたとき産湯につかるのと同じように、新たに生まれ変わる故人様の安らかな旅立ちを願う意味が込められています。
仏衣(ぶつい)
納棺の際に故人様にお着せする着物のことを「仏衣(ぶつい)」と言います。全身真っ白な色をしているのが一般的です。
別名「死装束(しにしょうぞく)」とも言われますが、仏様の衣を身に付けていただきたいという思いを込めて、〝仏衣〟とよんでいます。
仏衣は、白いさらしの着物の他に、頭には天冠、手足には手甲、脚絆に足袋などを組み合わせたもののことです。故人様の傍らには六文銭が入った頭陀袋や杖を置き、数珠を持たせます。三途の川を渡る際や旅の途中で困ることがないように、との想いを込めて旅支度をするのです。
仏衣を左前に着せたり縦結びをするのは、通常とは逆の「逆さ事」をすることで、不幸が繰り返し訪れることを避ける意味を込めています。
また、仏衣は白であるのが一般的ではありますが、最近は宗教や宗派に関係なく、故人様が生前に愛用していた洋服を着せたり、ご用意されていた着物をお着せすることも多くなりました。故人様に似合う、故人様らしい仏衣を選ぶ。このような傾向を受けて、現在では洗練されたデザインの仏衣も販売されています。
合掌(がっしょう)
合掌という行為は、仏教の発祥地であるインドから日本へ伝えられたものです。インドでは、右手は清浄、左手は不浄を表しますが、仏教においては右手を仏、左手を衆生(しゅじょう・生命ある全てのもの、全ての生物という意味)として表現しています。合掌では右手と左手を合わせますので、仏と衆生が一体となり、成仏を意味したものとなります。
お葬式では仏様へ向けて合掌するのが正しい合掌の方法です。故人様の前でお焼香をする際には、「故人のことをよろしくお願いします」という気持ちを込めて合掌しましょう。
また、この合掌という行為は、成仏することを願うだけではありません。相手への敬意を示し、調和を願うことを表現する場合にも使われます。
食事の際に合掌するのは、食事を作った人、食材を育てた人、食事となった植物や動物への感謝を表しているのです。